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インクジェットで細線は書ける? | 技術資料

インクジェットによるナノインク描画において、大変頻度の高い質問が、最小線幅に関するものです。弊社でも、20マイクロメートルの線を書けますか?といった質問を良く受けます。はじめに答えを申し上げますと、『不可能ではないが、極めて難しい』という回答になります。

第一に、細線を描画するためのインク量は、極めて少量である必要があります。インクの吐出量が0.5ピコリットルの場合、着弾すると約20マイクロメートルの円となります。産業用インクジェットヘッドを用いて、0.5ピコリットルを安定的に吐出することは難しいのが現状です。

第二に、インクジェットヘッドには着弾誤差があります。メーカー保障値は、通常、数十マイクロメートル程度となっています。産業用インクジェットヘッドは非常に多くのノズル(例:1024個)を搭載しているため、各ノズルの誤差がその程度あるということになります。

上記の要因から、『非常に良いヘッド搬送システムを装備したプリンターを用いた場合、最小線幅は50マイクロメートル程度が限界である』と考えて差し支えないかと思われます。これよりも細線の描画を狙うとなると、専用装置の開発にかなりの資金が必要となるでしょう。

意外に、インクジェットは細線描画には不向きであることがわかるかと思います。しかしながら、インクジェットが量産に向かないということではありません。ヘッド並列システムで、シングルパス印刷をした場合、100m/sを超える印刷速度が可能です。シングルパス印刷とは、ヘッドが往復するのではなく、並列固定化したヘッドを用いて、一度の通過で印刷を完了させる印刷法です。また、インクジェットはデジタルデータのみで描画が可能であることから、試作や少量ロットでの製品出荷には極めて効果的です。近年、特に手間や費用をかけずに、市場に製品を投入して反応を見る、リーンスタートアップの概念が重要性を増しています。3Dを含むインクジェットは、このようなものづくりには欠かせないものです。是非、細線を必要としない用途を見つけ出し、インクジェットによるものづくりを推進してください。

弊社ナノインクDryCure Ag-J を用いた市販のインクジェットプリンターによるフィルム印刷の例

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