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インクジェットで細線は書ける? | 技術資料

インクジェットによるナノインク描画において、お客様からよくいただく質問が、

最小線幅に関するものです。

『インクジェット印刷で、20 マイクロメートルの線を書けますか?』といった質問を良くいただきます。

結論から申し上げますと、『不可能ではないが、極めて難しい』という回答になります。

第一に、細線を描画するためのインク量が極めて少量である必要があります。

インクの吐出量が 0.5 ピコリットルの場合、基板に着弾すると約 20 マイクロメートルの円となります。

産業用インクジェットヘッドを用いて、0.5 ピコリットルというごく少量のインクを

安定的に吐出することは難しいのが現状です。

第二に、インクジェットヘッドには着弾誤差があります。

メーカー保障値は、通常、数十マイクロメートル程度となっています。

産業用インクジェットヘッドは、非常に多くのノズル(例:1024 個)を搭載しているため、

ノズル間の誤差が数十マイクロメートル程度あるということになります。

上記の要因から、現時点(2013年)において、

『高性能ヘッド搬送システム搭載のプリンターを用いた場合、最小線幅は 50 マイクロメートル程度が限界である』

と考えて差し支えないかと思われます。

50 マイクロメートルより細い線の描画を実現するとなると、専用装置の開発にかなりの資金が必要となるでしょう。

インクジェット印刷は、細線描画にあまり向いていないことがわかるかと思います。

しかしながら、インクジェット印刷が量産に向かないということではありません。

ヘッド並列システムでシングルパス印刷をした場合、100m/s を超える速度での印刷が可能です。

シングルパス印刷とは、ヘッドが往復するのではなく、並列固定化したヘッドを用いて、

一度の通過で印刷を完了させる印刷法です。


また、インクジェットは版の作製が不要で、デジタルデータのみで描画が可能であることから、

試作や少量ロットでの製品出荷には極めて効果的です。


近年、特に手間や費用をかけずに、市場に製品を投入して反応を見る、

リーンスタートアップの概念が重要性を増しています。

3Dを含むインクジェットは、このようなものづくりには欠かせないものです。

細線を必要としない用途を見つけ出し、インクジェットによるものづくりを推進してください。


弊社ナノインクDryCure Ag-J を用いた市販のインクジェットプリンターによるフィルム印刷の例

当社ナノインク『DryCure Ag-J』を用いた

市販のインクジェットプリンターによるフィルム印刷の例




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