
金ナノインク


金ナノインクの用途
高い安定性を求める配線やデバイス電極として
C-INK金ナノインクは、銀では実現できない安定性を求められる場面や、最先端の研究現場で用いられています。特に、研究機関への供給では金ナノインクが主流となっており、続々と研究現場から応用例が報告されています。以下、代表的な研究例を記載します。
金ナノインクを用いた研究事例

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塗布型有機デバイス用電極
金は高い安定性とキャリア注入効率をもち、有機半導体デバイスの研究では欠かせない素材です。C-INK金ナノインクはインク中の不純有機物含有量が極めて低く、塗布で電極材として用いる際にも動作効率を妨げにくい特性があります。以下の図はC-INK金ナノインクを電極、半導体としてカーボンナノチューブを用いたに用いた塗布型FETデバイスです。動作電圧1V以下で、70 cm^2/Vs もの高い移動度を実現しています。こうしたデバイスにおいては、塗布型と書かれているものでも、電極は真空蒸着等で形成させるのが一般的ですが、C-INK金ナノインクを用いることで完全塗布型デバイスを実現できます。
2
選択的表面処理を用いた微細配線形成
C-INKナノインクは水系の材料です。通常、ポリイミド等の樹脂基板ではインクはじきが生じるため、ファインな印刷は難しいものです。こうした濡れにくい樹脂基板等に対して、限られた部分のみに紫外光を照射することで、選択的に親液処理を行うことが可能です。下図のように、通常では不可能なレベルである、線幅0.6 μmもの微細配線を形成可能です。近年では、このように塗布形成した微細配線を3次元化し、ビアホールにより導通させることもできるようになっています。このような選択的表面処理による配線形成を行うには、インク物性の最適化が必須です。C-INKでは用途に応じてインクカスタマイズが可能です。詳しくはお問い合わせください。

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生体適合デバイス
生体に接触する応用では、アレルギー反応が出にくい金のような貴金属が有用です。生体親和性のある樹脂基板にC-INK金ナノインクでコイル形成を行い、非接触誘導加熱で癌の温熱療法を目的とする研究事例が報告されています。C-INK金ナノインクをインクジェット印刷し、わずか厚さ7μmの生体適合デバイスを形成できます。
このようなバイオ系での他の応用事例では、血糖値センサー用の電極形成においても、従来用いられてきた金電極とまったく同様の動作が可能であることが明らかとなっています。これは、C-INKナノインクが極めて高純度であり、動作を妨げる有機不純物含有量が極限まで少ないことによる効果です。
