
全体像 | アプリケーション
個々のアプリケーション例に入る前に、全体像の把握が重要です。 このページは、金属薄膜形成を必要とされる、すべてのお客様に向けたものです。 ナノインクは、大変シンプルなものです。ナノインクを最も端的に表現するならば、金属箔を塗布によって形成する材料といえます。すなわち、下図に示すように、金属薄膜を必要とする技術領域であれば、あらゆる用途に展開できる可能性を持っています。 しかしながら、現状では問題もあります。最も大きな問題は、ユーザーが使いこなすことが難しいと感じることであると思われます。これには様々な要因があります。 難しいと感じる様々な要因
(1) 良いナノインクに出会えない
(2) 塗布法がわからない
(3) 新しい材料であり、採用できるか不安 上記のようなお悩みは、弊社が顧客様からインタビューを行う中で、かなりの割合でお持ちであることが分かってきました。しかしながら、我々は心配ないと考えています。要するに、慣れの問題が大きいと思われます。 弊社では、お客様のご要望を満足するため、上記の問題に真正面から取り組みます。まず、弊社のインクを

リペア | アプリケーション
ディスプレイパネルなどの電子デバイスは、非常に洗練された製造プロセスで生産されます。デバイスの複雑さを考えれば驚異的に小さな確率ですが、ある割合で欠陥を持ったデバイスが生産されます。この欠陥が配線の部分的な切れによるものであれば、ナノインクを用いた配線リペアで極めて容易に補修できます。図に示すように、配線の欠陥に対してナノインクを塗布し、乾燥させるだけでデバイスが甦ります。この際、レーザー等でナノインク塗布部を局所的に加熱することも有効です。弊社の金および銀ナノインクはどちらもリペアに最適な材料です。デバイスの価格や、求める信頼性などを考慮したうえで、金および銀ナノインクの選択をすると良いでしょう。 配線欠陥のリペア(イメージ図) 極めて簡便に補修が可能。 特に、精密なデバイスは高価なため、信頼性の確保が欠かせません。銀ナノインクでのリペアでは、常にマイグレーションの危険が伴います(注)。高価なデバイスに対して銀の使用は難しい場合が多いと考えられます。このような用途に最適なのが弊社の金ナノインクです。金は極めて信頼性の高い材料です。加えて、弊社の

インクジェットによる配線、電極形成 | アプリケーション
ナノインクをインクジェット印刷でパターニングする最大のメリットは、その「スピード」にあります。インクジェット印刷ならば、デジタルデータさえあれば、その場ですぐに試作を行うことができます。試作には、常に改良が伴います。サイズを10%大きくしたい、ある部分の配線を少し伸ばしたい・・・などなど、今までであれば、外注して納期がかかるようなものでも、デジタルデータを加工して、すぐに次の試作が可能となります。これは、開発スピードの劇的な向上をもたらします。めまぐるしく外部環境の変化する現代においては、スピードは何よりも重要視されるべきものです。ナノインクとインクジェットの組み合わせを使いこなすことができれば、御社にとって多大なメリットをもたらすでしょう。 PETフィルム上に家庭用インクジェットプリンターを用いて形成した銀パターン 弊社ナノインクは、世界最高レベルのインクジェット適合性を持っています。インクは高い溶液安定性をもっており、インクジェットでの安定吐出を実現しています。加えて、熱処理は比較的マイルドな条件を適応できます。また、密着性に優れる各種基板用

バイオセンサー | アプリケーション
バイオセンサーは、主に生体に含まれる分子を、何らかの方法で検出して信号へと変換させるものです。近年、医療や健康管理の観点から市場は急成長しており、2016年現在において世界市場は約2兆円と見積もられています。バイオセンサーの中でも重要なものは血糖値(グルコース)センサーであり、バイオセンサー市場のおよそ9割を占めると見積もられています。血糖値センサーを用いた測定では、まず指先などに穿刺を行い、少量の血液を出します。これを電極チップに吸い込ませ、血糖値の測定を行います。血糖値センサーの重要なパーツが、使い捨ての電極チップです。この電極チップには金などを用いた電極パターンが形成されています。高価である金が利用されるのは、金が安定な物質であり、電気化学的に電位窓が広く、安定して反応を検出できる等の、他の素材には変えがたい利点があるためです。 弊社金ナノインクを用いてインクジェット 印刷を行った金電極パターン 弊社では、このような電極パターンを簡便に形成できる、金および銀のナノインクを用意しています。ディスペンサーやインクジェットを用いて、電極パターンを

電磁波シールド | アプリケーション
近年、スマートフォン等の携帯無線機器の発展に伴い、無線機器の重要性が急速に増してきています。あらゆる無線機器は、「電磁波」によって通信を行っています。安定した通信を行うには、電磁波環境が理想的である必要があります。例えば、電子レンジは電磁波で食品を加熱する機器です。皆様もご経験があるかと思いますが、電子レンジを使っていると、携帯通話にノイズが入ったり、無線LAN通信が障害を受けたりといった、電磁波による干渉を受けます。これを防止するのが電磁波シールドです。電磁波シールドには大きく2つの役割があり、パーツから発生する電磁波を外に漏らさないためのものと、外部からの不要な電磁波が内部に侵入するのを防ぐためのものです。いずれの電磁波シールドも、金属などの導電性の材料で形成されます。この際、より抵抗率の低い材料が良いシールド効果を発揮します。 これまでは、シールド構造を形成させるために板金加工や導電性テープで覆う等の工程が必要でした。この工程をナノインク塗布に置き換えた場合、プロセスコストを飛躍的に低減できます。ナノインクは、塗布によって金属箔を形成できる

金属ペーストとナノインクの違い | 技術資料
1.金属結合を形成しない金属ペースト ナノインクの原料となる金属ナノ粒子水溶液 今、産業で実用化されている塗布型の導電材料で、最も重要なものは「銀ペースト」です。銀ペーストは、マイクロメートルサイズの銀の微粒子、バインダーと溶剤から構成されるのが一般的です。銀の粒子サイズが大きいため、粘度の低い液中では粒子が容易に沈殿します。銀微粒子の沈降を防ぐために、通常はかなり粘度の高い状態で供給されます。そのため、粘度の高い材料に適している、スクリーン印刷やディスペンサーによって塗布されます。導電機構としては、お互いに接触が得られた粒子を通って電気が流れます。粒子間の電気接続を良好なものとするため、球状の粒子ではなく、通常は平べったいフレーク状の銀微粒子が用いられます。フレーク状とすることで、各粒子間の接触が強化されるため、より有利な電気伝導パスを形成することができます。塗布後の加熱温度を200℃以下に抑える場合、銀微粒子間に金属結合はできません。銀ペーストで得られる体積抵抗率は、おおむね5×10-5 Ωcm程度であり、バルク銀に比較して抵抗率は数十倍劣り

インクジェットで細線は書ける? | 技術資料
インクジェットによるナノインク描画において、大変頻度の高い質問が、最小線幅に関するものです。弊社でも、20マイクロメートルの線を書けますか?といった質問を良く受けます。はじめに答えを申し上げますと、『不可能ではないが、極めて難しい』という回答になります。 第一に、細線を描画するためのインク量は、極めて少量である必要があります。インクの吐出量が0.5ピコリットルの場合、着弾すると約20マイクロメートルの円となります。産業用インクジェットヘッドを用いて、0.5ピコリットルを安定的に吐出することは難しいのが現状です。 第二に、インクジェットヘッドには着弾誤差があります。メーカー保障値は、通常、数十マイクロメートル程度となっています。産業用インクジェットヘッドは非常に多くのノズル(例:1024個)を搭載しているため、各ノズルの誤差がその程度あるということになります。 上記の要因から、『非常に良いヘッド搬送システムを装備したプリンターを用いた場合、最小線幅は50マイクロメートル程度が限界である』と考えて差し支えないかと思われます。これよりも細線の描画を狙う

ナノインクをインクジェットで効率よく塗るには? | 技術資料
弊社のナノインクを効率よくインクジェット塗布するには、以下の3つのコツがあります。 1.インクジェットヘッド表面が撥液性であること
インクジェットヘッドは大変デリケートです。わずかなインクジェットヘッド表面の汚れが、不吐(吐出できないこと)や曲がりに繋がります。ですから、インクジェットヘッド表面は常に清浄に保つ必要があります。 弊社ナノインクは、一度乾燥するとそれまで溶けていた溶媒には不溶となります。弊社のインクジェット用インクは乾燥を防ぐ仕様ではありますが、全く乾燥しないわけではありません。ヘッド表面でナノインクが乾燥すると、金属化したナノ粒子が表面の汚れとなりますから、このような汚れがつきにくいヘッドが望ましいといえます。 インクジェットヘッドには、ノズル表面にフッ素系樹脂をコーティングするなどして、水系インクでも油系インクでも表面が濡れないようにされたものがあります。弊社ナノインクをご使用になる場合は、撥液加工されているヘッドが良い結果を与えます。エプソン、キヤノン、京セラ、リコー、コニカミノルタ、東芝に該当するモデルがあります。 2.基

融点降下とは? | 技術資料
金属微粒子は、そのサイズが小さくなればなるほど、融点が低くなる特徴を持っています。特に、数十ナノメートル程度以下のサイズを有するナノ粒子において、より顕著に観察されます(図1)。 図1 融解曲線にみられる粒子のサイズ効果 ナノインクの焼結は、この融点降下を上手に利用しています。ナノインクは、塗布後に加熱による焼結を行い、金属箔に近い金属膜を作り出すことのできる材料です。この焼結の際、ナノ粒子であるために融点降下が働きます。結果として、より低い温度で、バルクに近い金属の連続膜を作ることができるのです。この際、粒子サイズは小さな方が融点降下の効果は大きく働きます。しかしながら、ナノ粒子は表面積が広大な材料であり、このような表面は極めて高い活性を持っています。つまり、ナノ粒子はサイズが小さいほど、より鋭敏に酸化の影響を受けます。一般に、ナノ粒子の表面酸化は、焼結過程にとって不利に働きます。金属よりその酸化物の方が、大体は高い融点を持つわけですから、酸化が与える影響というものをご想像できると思います。 ですから、ナノインクに含まれる金属ナノ粒子は、単にサ